以前からpalmには興味があった。しかし、MI610で機能的には満足していたことと、安くなったとはいえ筆者にはダメもとで出せる金額ではなかったために、購入を諦めていた。きっかけとなったのは、第一にvisorシリーズの値下げだった。発売当時、といってもわずか1年半前、に3万円以上したマシンが9800円になったのだ。「これって、娘のカシオ電子手帳より安いやん」。コレをきっかけに、購買ターゲットとして現実味を帯びてきたのだった。そして、普段からザウルスのMoreソフト情報の収集のために、しょっちゅうアクセスしているPDAJapanでpalm関係のサイトをピックアップ。Munchy'sPalmwareReview!を中心にpalmの情報を収集。他にも、様々な先人のサイトをサーフした。そこで得た結論。「VisorDeluxeは日本語palmOSが標準搭載でメモリも8メガ。USBクレードルとiMac環境にもジャストフィットし実用性十分。というより、素晴らしいコストパフォーマンス」となったのだ。モノクロ液晶と16MhzCPUというのは新型には劣るかもしれないが、8メガのフリーエリアというのは、2000年8月に発売された最新型と同容量だ。「これはPDA史上最強のコストパフォーマンスマシンだ!」と本気で思ったし、今でも思っている。
ただし、コストパフォーマンスが上がっただけで手を伸ばせるほど我が家の家計には余裕はない。どれだけ最高のコストパフォーマンスだったとしても、要らないものは要らない。通常1,000万円するミンクのコートを100万円で売っていても買わないのと一緒だ(注1)。しかも、panheadのデイパックには最強の(注2)データベースマシン、MI610がある。
そんなpanheadの背中を押したのは、一本のソフトだった。それは、PalmPickle。詳しくはこのサイトを見て欲しい。それは、山本徹というクリエータの作品を紹介したサイトからリンクされていた。我が家にはPickle'sBook for Mac、クルトン、クッキーとジンジャー、というCD絵本があって、Pckleは家族みんなのお気に入りだ。そして、そのサイトにはpickleの登場するソフトがあった。macで動作するソフトはすぐにダウンロードした。しかし、ダウンロードできないもの、しても動かせないものがあった。前者はiアプリ、後者はパームウェアだった。「iアプリ版を入手するにはコストがかかりすぎる(panheadはj-phoneユーザー)が、VisorDXならなんとか...」。
欲しいのはオレンジのVisorDeluxe。理由は母艦のiMacがタンジェリンだから。価格ドットコムでの最低価格は9700円。通販で買っていたら送料と振込手数料がかかるのでメリットがない。次に、ヤフーオークションで検索。ところが、オレンジ色の出品はほとんどなく、色を選べるところは10000円の値段をつけている業者だけ。この時点でオレンジ色は諦めた。色にこだわらずに、いくつかピックアップするが、「新品同様」や「未開封」は8000円台後半の成約価格になっている。出品している人はもっと値段の高い頃に買った人ばかりだろうから無理もないが、送料・振込手数料を考えると、保証が期待できないであろうことを差し引くとメリットはない。リストのかなり下のほう(残日数が多い)から、「VisorDeluxeBlue(シリアルクレードル付)」を発見。そこには、「8,000円で終了させても良いです」とのコメント。他のウォッチリストも見ながら、落札を決意。8,000円で入札し、出品者に連絡。その30時間後にはそのVisorDXは夏休みで留守番する娘によってクロネコヤマトより受領したのだ。8,000円+送料740円+振込手数料160円、合計8,900の買い物だった。シリアルクレードルは単体で買うと3,680円もするものだから、まあまあの買い物か。
注1:200万円以上で転売できることがはっきりしているようなケースはふくまない。もちろん。
注2:個人比
open the Box(2001/9/6)ここにあるすべてとシリアルクレードル。記載されていない同梱品として、保証書、取扱説明書、ステッカー4枚が入っていた。
保証書は白紙で未登録らしかったので、handspringのサイトでユーザー登録をしてみた。あっさりと登録完了。Handspringが日本での経営方針を見なおしている現在どの程度の有効なのかわからないが、問い合わせをするような場合には役に立つかもしれない。実際には、メーカーに問い合わせるよりユーザーサイトや掲示板で質問するほうが早くて確実なことが多いが、そこで出た結論が「メーカーにクレームをつける」という場合は、ユーザー登録してあるほうが通りが良いだろうと思う。
予想通り、VisorDXはiMacのとなりにきれいにおさまった。ここに、VisorDXの詳細な写真を載せても意味はないだろうから、送られてきたVisorDX固有の所だけ下に載せる。ついでに、商品説明ではなかなか見ない後ろ姿も。グラファイト以外は全部同じアイス。
●vs MI610:
必要な内容物に関しては大差がない。追加投資なしに単独での利用はどちらも可能だ。しかし、 MI610のMacユーザーを全く考慮に入れない姿勢に対して、VisorDXは標準でmacintosh版のドライバおよびPalmDesktpが添付されている。これは、macintoshユーザーにとっては大きなメリットといえる。というより、パソコンとの連携という意味では、MI610はWindowsノートパソコン、それも指定のバージョンのOSとオフィスソフトを使っているケースでしか標準ではサポートされていない。
マニュアルについてはMI610の圧勝だ。標準の機能自体が多いのだから当然といえば当然だが、VisorDXのマニュアルには標準添付ソフトの使い方を解説したものさえない。
| ボタンの印刷が消えているのが少し残念。独立した上下ボタンは押しやすい。 | ![]() |
| キュートな後ろ姿? | ![]() |
実際にVisorDXを触ったときには、「予想していたより大きい」と感じた。大きさはともかく、厚さが予想外だった。WorkPadやCLIEの店頭展示を何回か触ったことがあったが、VisorDXは初めてだったのだ。springboardスロット用のスペースの分厚くなっているのだろう。拡張スロットの回りにはノイズを防ぐための遮蔽物も必要になるから、これは致し方ない。また、ワイシャツのポケットには絶対に入らないが、スーツのポケットなら楽勝。
半透明のプラスチックの函体はかっこいい(個人的感想)。プラスチックに金属質の塗装を施したり、真っ黒けのPDAなんかよりはるかにいい。塗装がはがれて汚くなることもない。オレンジ色でないのは残念だが、見た目的にはPDAのなかで最高と思う(本気)。クレードルの半透明白というのも涼しげでいい。ケーブルにも手を抜かず、プラスチック部分が透明のものを使っている。
スタイラスはボディ部分がアルミ風だが比重は少し重い。両端が半透明のプラスチックになっている。プラスチック部分は金属部にねじ込んであり、頭部(タップするがわ)の内側にはリセットをするための突起があり、尾部はドライバーになる。この配慮は、rev.D以前のiMacでリセットが必要になったことのある人なら膝をたたくに違いない。しかも、このリセッター(?)はiMacのリセットにも使用できる秀逸なものだ。
ただ、尾部のドライバー微妙だ。なぜなら、ユーザーが自分でケースを開くとメーカー保証が切れてしまう。このドライバーは悪魔の誘惑のような....それが狙いかHandspring!
●vs MI610:
見た目はVisorDXの圧勝。だって、MI610はpanheadの大嫌いな金属風塗装プラスチックなのだ。これは、使っていくと突起部や角から塗装がはがれ、下地のプラスチックが現れる。据え置型の家電品の場合は、これでも良いかもしれないが、「もちあるいてなんぼ」のPDAに未だに金属質にこだわる気持がわからない。金属風の塗装が落ちて下地のプラスチックが現れた状態は塗装していないプラスチックの傷より汚いと感じる(証拠写真)。
持った感じでは、MI610は高密度なハイテクデバイスという印象を受ける。MI610を扱うときは、無意識にではあるが、精密機械を扱うような緊張を伴う。VisorDXにはそのようなプレッシャーは感じない。少し大きめの電卓或いは電子辞書程度のものを扱う気軽さと思ってみるといい。MI610の場合は、フルサイズのノートPCとは言わないが、どちらかというとPCの仲間に近いものがある。ただし、これは購入価格の違い(7.3万 vs 0.8万円)による心理的プレッシャーが影響するところが大きいかもしれない。これについては、購入のタイミングに大きく左右されるので、
なお、MI610もスーツのポケットに入らなくはないが、320gという重さのために、かなりの違和感を感じる。システムメモと使い捨て年間メモ帳との差といえば分かりやすい。ついでに、panheadの考えるポケットに入れられる許容重量を下の表にまとめた。
スタイラスについてはVisorDXの圧勝。質感、重量感、見た目、付加機能、どれをとってもVisorDXの勝利だ。しかし、短いVisorDXのスタイラスは書きにくい。これは、ペンの仕様のためではなく、小さなPDA共通の弱点だ。内蔵するためには、函体より長いスタイラスを作ることはできないからだ。スタイラスによる入力にこだわるのであれば、標準スタイラスは移動中専用と考え、メインとしてここらあたりのボールペンタイプのものを使うのが正解かもしれない。ちなみに、panheadは家や会社の机でVisorDXを使う場合は、MI610添付のスタイラスを使っている。
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前面左下 MI610 |
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携帯電話 |
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背面電池ふた角 |
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携帯電話 |
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| 収納 | 快適 | 最大 | デバイス |
| ワイシャツのポケット | 50 | 100 | 携帯電話、電卓、シリコンオーディオプレーヤー、小型デジカメ |
| スーツのポケット | 100 | 200 | palm、メール端末等 |
| スーツの内ポケット | 150 | 300 | ザウルス、ハンドヘルドPC、デジカメ |
| セカンドバッグ | 200 | 400 | nonspindlePC |
palmのGUIには好感が持てる。macSE/30を思い出させてくれる。そのなかでも、今でも一番好きなソフトHyperCardを思い起こさせてくれる。そのむかし、ガリレオ(Newtonの日本語版、シャープとの共同開発でザウルスの日本語認識エンジン・液晶技術・実装技術とAppleのソフトウェアが結びつくと期待されながら消えていった不遇のマシン)やNewton、に先だって、SONYから発売されていたPDAがあった。それは、開発者がはっきりと「HyperCardを参考にした」といっているものだった。しかし、ザウルスとのコストパフォーマンスに敗れ消え去っていった。panheadは小さな液晶画面でオーバーラップウィンドウが使えるのが面白くて何十分も店頭で触っていたことがあった。が、当時はPDA自体が不要だったのと、価格が高かったために断念したのだった。そんな、果たされることのなかった思い入れをVisorDXは思い出させてくれた。これは、MI610の時には感じなかった。
そういえば、こんな記事があった。Apple出身者でいっぱいのPalm社OS開発部門(Zdnet) 。 なるほどお。こんなにショボイ画面(カラーゲームボーイにだって負けてる)なのに、使ってて楽しいのはこのせいだろうか。
ちなみに、DAという言葉を久しぶりに聞いた。すごく嬉しい気分になった。昔、macのシステムが6だった時代に、Appleメニューから起動できるソフトがDAだった。PalmOSと同じで、当時のMacは複数のアプリケーションを同時に起動することができなかった(AndyHearzfieldがPDSとして発表していたサーバントや英語版MultiFinderを駆使してマルチタスクしている猛者もいたにはいたが)。そこで、DAという形で、システムに組み込んで使う小さなユーティリティがたくさん発表されてた。気の利いたフリーウェアや、後にシステムに組み込まれて未だにそのユーザーインターフェースを残している作品もある(Appleメニューを階層化したり、任意のソフトを組み込んだりするものはwindowsにも、STARTメニューとかWindowsメニューという形で、中途半端にだが、とり入れられた)。さらには、フルカラーグラフィック、データベース、ワープロ、ドローグラフィックまでも扱えるようになった。また、DAを管理するマネージャーソフト(palmのDAローンチャーに近いが、DA自体はOS標準の機能として使用できた)もあった。
DAには、そんな時代の懐かしい香りがする。小さなモノクロのMacが「FontDA mover」で組み込んだDAによって機能強化されていく様はpalmにアプリケーションを組み込んだことのある人になら分かる"あの"気持だ。それは、Windowsや今のMacintoshにソフトを入れるのとは違うと思う.... 実際には、panheadは「FontDA mover」より「MusterJuggler」を愛用していた。ついでに忘れないように書きとめたい「Fkeysound mover」も。FKEYはシステムに組み込むキーボードショートカットを組み込めるもので、VisorDXで愛用の「近道」のようなものだ。その中で最高だったのが「StriptiesFKEY」という、トップレスの女性が踊っている動画が右から左へと流れていくというスクリーンセーバーだった。この時期(90年頃)に「動画」だった。DOSマシンがLOTUS1-2-3とか一太郎を使っているときに動画だよ。実際には動画というより10枚程度の絵を表示しているだけらしいが、そのデータの持ち方がpanheadには分からないままだ。GIFアニメみたいに、PICTにアニメを表示させるらしいが、良くわからない。
Windowsにも標準でついている効果音も、元々はMac用のフリーウェア作家が考えたものだった。panheadhは安定性を重視してMusterJugglerのオマケを使っていた。ディスクをイジェクトするたびに「Here is your disk master.」と鼻にかかった艶っぽい声を出してくれたものだった。
palmともザウルスともPDAからも外れてしまった。上の記事とぱむpamuというサイトを見て嬉しかったことのせいだ。ぱむpamuというサイトは、いっぱいpalmのソフトつくっておられる方のサイトだ(これで起動修正完了)。「好きなソフトがHyperCard」というフレーズには泣ける。それと、SONYのPalmTop(おかげで名前を思い出した)も載っていた。しかし、MagicLinkをSONYのデバイスとされていたのは少し残念。確かにSONYが作ったがソフトはAndyHearzfieldとBillAtkinsonが作ったものだ。当時の会社名はGeneralMagicだったと記憶している。ネットワーク・エージェントという概念を最初に提示したのだった。そして、当然のように、HyperCardそのもののようなGUIにあこがれたものだった。貧しいpanheadはどちらも買うことはできなかったし、Magiclinkに至っては実物を目にしたことすらなかった。フ〜
そういえば、VisorDXのホームのアイコンは、HyperCardのホームリンクボタンによく似ている。他社のものが矢印なのと対照的だ。良くも悪くも大好きなHyperCardの影響が色濃いと思うのはpanheadのHyperCard贔屓のなせる技か?
とりあえず電源をオン。電池は前のユーザーが新品のアルカリ電池を入れてくれていたようで、電池インジケーターはフル状態だ。
薄っぺらな取扱説明書は一切開かずともやるべきことは分かる。電源ボタンも独立していて見間違いようもない。とりあえず各モジュールを見る。アドレスやスケジュールなどはデータが入っていなければ何の意味もないので、機能を見て回るだけ。
本体に標準添付されいているのはスケジューラーやToDoリスト、メモ、アドレス、英和辞書、和英辞書といった基本的なものだけ。1時間もすれば、基本的な操作はマスターできる。GUIは大変なじみやすく直感的だが、基本的にはコマンド志向(注1)だ。ソフトやモードによってオブジェクト志向とコマンド志向が入り乱れているので、戸惑うことがある。また、標準のアプリケーションは大丈夫だが、追加するソフトには異なるショートカットが割り当てられていることがあって、戸惑うことがある。
とはいうものの、OSを含むパソコンのソフトにも、コマンドインターフェースは残っていて統一されていないことは事実だ。例えば、ファイルをオープンする際には、ファイルオープンコマンドを選んでから対象をダイアログから選ぶようになっている。デスクトップでアイコンをWクリックするのと正反対だ。
また、ショートカットについては、ほとんど統一されていない(としかpanheadには思えない)Windowsを普段使っているユーザーは免疫になっていて問題と思わないかもしれない。
●vs MI610:
MI610の場合はリチウムイオン電池を使っており、マニュアルに「まず、電池を充電器にセットし、充電してからお使いください。充電している間にマニュアルに目を通してください。」と明記されている。実際に、この間にざっとマニュアルに目を通しておくと、使い方が分からないときに便利だ。また、機能が豊富にあり、誰でもの目にとまるところにないので、便利な機能を使わずに終わってしまう可能性もある。
MI610には電源スイッチは無い。液晶画面をスタイラスでタッチ(タップ)することでスイッチが入る。起動には時間がかかるが、パソコンの比ではない。また、電源を切ったときの機能のままで立ちあがってくれるので、不便さは感じない。画面は、なんといってもバックライト付きTFT液晶16bitカラーだ。16階調モノクログレイスケール(ビット深度でいうと4ビットだ)と視認性で大きな隔たりがある。320X240という広さともあいまって、桁違いの表現力だ。
標準状態でたくさんの機能が搭載されているので、搭載された機能を使いこなすことが目的のようになってしまう。必要最小限の機能からスタートして充実させていくpalmの方向性と逆で、最初から最大限の機能を載せてしまうことで様々なニーズに対応しようという姿勢を感じる。また、「つかわないだろうなあ」と、この時点で思うような機能が多いのも特徴だ。
これはフリーエリアにも象徴される。MI610が購入時点で残りが4メガ程度しか残っていないのに対して、VisorDXは8メガ弱が使用可だ。
VisorDXの電源が単4乾電池であることは大きい。いざというときに購入することが、金額的にも簡単だからだ。MI610のような専用の充電池を使用する機種では、出先でスペアを入手することは不可能だ。しかも、高価なのでスペアを買うことも憚られる。
注1 コマンドインターフェース:オブジェクトを選んでから操作を行なうのではなく、コマンドを選んでから対象を選択するインターフェース。(対 オブジェクトインターフェース:オブジェクトを選択してからそのソフトに対して操作を行なうインターフェース。Macが先鞭をつけ、Windowsにひろがった操作体系。対象を選択し、それに対する操作を行なう。)